apöpa INTERVIEW

郡山PEAK ACTIONとstudio tissue★boxにて開催されたイベント「OFFCOURSE」の翌日、約束の11時にstudio tissue★boxを訪れると、打ち上げとイベントの片づけを終えた主催チームがまだ残っていた。
コーヒーを飲みながら談笑する主催チームの姿を見て、昨日の素晴らしいイベントがまだ続いているようでなんだか嬉しくなった。
「OFFCOURSE」に出演していたサマリー(Doit Science)も交え、主催、そしてジャンプスのメンバーとしてイベントを終えたばかりのapöpa(以下「荒川」)にお話を聞かせてもらいました。

クラハラ: 昨日は「OFFCOURSE」お疲れ様でした。最初から最後までみんなカッコよかったですし、感動するような瞬間も沢山あったイベントだったと思います。今回のイベント開催のきっかけを教えてください。

荒川: フェスっぽいというか、出演者が沢山でるイベントって実は結構苦手なんです。出演しているバンドをじっくりみたいなーって気持ちがありまして。
苦手なんですけど、Art Blakey Fesとかマンモス、METEONIGHT、summer meetingとか最近だとthe hatchのSpeed of Faithに参加した時に、お客さんが凄く楽しそうだし、中々会えなかった人達に久しぶりに会って色々話したり、音楽が好きな人たちと一日中過ごすイベントもいいな~と思いまして、郡山でもやってみようかなって思うようになりました。それと自分はDo it世代っていうか。Do itキッズ的なところもあるんで、そういうイベントをいつかやってみたかったっていうのもあった気がします。
でも郡山で普段イベントするのって結構厳しいんですよ。いろいろ、集客とか・・・。だから郡山でやってもキツいかな、みたいなのもあって、ずっとやってなかったんですけど・・・。それで一人だともろもろの事が厳しいと思って、主催のみんなに相談して、やってみよっかー!って感じでやってみる事になりました。

クラハラ: 今回はジャンプスと炎とRebel One Excaliburの共同企画だったんですよね。ブッキングもその3組で組んだんですか?

荒川: そうですね。

クラハラ: 今までの荒川さんたちの活動が今回のブッキングに繋がってますよね。郡山ならではのブッキングだと思いました。

荒川: あっ本当ですか。それだと嬉しいです。

クラハラ: 「OFFCOURSE」は昨日終わったばっかりではあるんですけど、やってみて感想はありますか?

荒川: そうですね・・・。(ブッキングを)考えてるとき、観たい人たち呼んで、よしこれでOK!みたいなところ、一段階あるじゃないですか?これは楽しいっしょみたいな。それは絶対楽しい組み合わせが今回出来てて。
あとは当日に出演者の人たちがどういう感じで絡み合って、イベントが良くなるかは演者の人たちに任せる感じで、それを作りやすい環境に主催ができたらいいなっていうところで、集客とかもそういう要素になると思うんですけど、 そこがちょっとへこむっていうか、難しいなって感じでした・・・。
でもお客さんも楽しんでくれてたし、出演者の人たちも楽しく喜んでくれてたんで、それは良かったなって感じです。



クラハラ: 郡山についてお聞きしたいのですが、荒川さんのご出身は郡山ですか?

荒川: 出身は郡山の近くの三春町ですね。電車で二駅ぐらいのとこです。高校は郡山の学校に通ってて、当時はバンドはやってなくて野球部って感じだったんですけど。(バンドは)文化祭とかでちょっとやるって感じでした。大学は小岩の近くの千葉の市川ってところにある学校に行って、就職で郡山に来て、5年ぐらい働いて。震災(東日本大震災)きっかけなのかわかんないですけど、そのあたりからもう仕事しててもな・・・ってなって。それでお店(studio tissue★box)始めたって感じです。

クラハラ: 荒川さんにとって郡山はどういう街ですか?

荒川: 「人と風が冷たい町」ってよく言われてるんですけど、自分もそうだなって感じはしますね。

クラハラ: えっそうなんですか? 人に関しては全然そんなイメージないですよ。

荒川: みんな皮肉屋っていうか・・・そういう感じはします。
絶妙な都市感というか、大きすぎず、小さすぎずで、でもチェーン店がいっぱいあるみたいな、そういう印象はあって。ただ面白い人は、それこそピロ君(Rebel One Excalibur)が自分のお店始めたりとか、何人かはちゃんと面白い人たちがいるっていう感じですかね。絶妙な都市感っていうか・・・。仙台までいくと、いいな~みたいな。

サマリー: 仙台の方が大きい?

荒川: 大きいです。大きいんだけど、森の都感があるというか、地方都市のいい感じのイメージがあって。

サマリー: 福岡に対する久留米みたいな感じなのかも。

荒川: 久留米って同じくらいですかね?

サマリー: 同じぐらいの規模かもしれない。
※郡山市の人口が約30万人、久留米市の人口が約33万人。

荒川: あ!Rebel One Excaliburとか炎のみんなはポジティブなんですけど、俺は結構そういう(皮肉屋っぽい)感じです。擦れてこじれてる感じですかね。 文句ばっか言っちゃうんですけど・・・って感じです。
でもそれは郡山のせいってわけじゃなくて自分の問題で、面白い店もいっぱいあるしっていう街だと思います。

クラハラ: 郡山のシーンについてはどうですか?

荒川: 自分のお店があって、やりたい事勝手にやらせて頂きます!みたいなスタンスでやってるんですが、発信力っていうか、なんかちょっとこじれてしまってまして、周りの人たちを巻き込んで盛り上げていこうというタイプでもないので、諦めるとまでいかないですけど、自分のやりたい事とか好きな感じの広がりはないなと思ってます・・・。
でも炎とかRebel One Excaliburもいるし、今回「OFFCOURSE」に出てくれたJesus Woundとか最近始めたばっかりのバンドの子たちもどんどん面白くなってきてて。tomokazu shishidoって人も、歳は俺と同じくらいなんですけど、最近精力的だし変だしなんかいいんですよね。そういう人たちがちょっとずついるんで、面白い人は少ないけどいるって感じです。でもシーンとして盛り上がってはないですかね(笑) 集客っていう意味ではかなり難しいし厳しいです。面白い人もいて、面白いイベントもあるけど、盛り上がってはないかな。でも、盛り上がるって難しいですね。何をもって盛り上がるっていうのか・・・。人数がいれば盛り上がってるのかっていうと違うと思うんですけど。盛り上がってはいるんですかね、そういう意味では。 少ない人数で。

クラハラ: 自分はstudio tissue★boxのようなスタジオが熊本にもあればいいなってよく思います。

荒川: でも大学生がArt Blakey FesでNAVAROにたくさん遊びに来てて、本当にすごいなって。めちゃめちゃ感動しました。OFFCOURSEをやるきっかけというか、個人的にかなり影響を受けてるんで。Art Blakey Fesに。

サマリー: でもそれも最近だよね。

クラハラ: そうですね。ずっとその状況が続いてきたわけではなかった。

サマリー: コロナ禍が始まって、大学に入れないような時期が続いてたけど、当時の大学生たちがNAVAROでライブをしたり遊びにきてくれるようになって・・・。だからたまたまなんだよね。

クラハラ: いろんなタイミングが重なった結果なんだと思います。でも(熊大)ロッ研のみんなはマジですごいですよね。やってるバンドもみんなカッコいいし。


クラハラ: 荒川さんの音楽的なルーツはどんなところにあるんですか?

荒川: 小岩って感じですかね。こんな風に言っちゃうとざっくりしててアレなんですけど・・・。eM SEVENってBUSHBASHの前に柿沼さん達がいたライブハウスに初めて遊びに行ったときにTIALAとかDEEPSLAUTERとかが出てて、それがホントに衝撃で・・・。そっからって感じです。
元々、例えば中学校の文化祭はGLAYのコピーをしたし、高校の文化祭はハイスタとかやったのかな。B-DASHとかBRAHMANとか、THE MAD CAPSULE MARKETSとかDragon Ashとかを好きじゃないのにただ聴いてるみたいな・・・。

クラハラ: 別に好きではなかったんですか?

荒川: 今考えるとですけど。別に好きとかじゃなくて・・・流行ってるっていうか(曲が)どっかで勝手に流れてるだけ。好きじゃなかったんだと思いますね。 ただ耳から入ってきてるっていうか・・・。そんな感じから東京で初めて観たバンドがいきなりTIALAとかだったんで、結構もうびっくして。ライブハウスで、うわーってなって、なんだこれは!みたいな。その時に出てたDASHBOARDってバンドが、PING! PONG!! PUNK!!ってイベントをやってたんですけど、それでいろんなバンドを観たり、eM SEVENに通ったりDISCOで音源買ったり。そういうのから始まったような感じですかね。

クラハラ: そうなんですね。ライブハウスでライブをやりだしたのもそのころですか?

荒川: そうですね。大学で軽音楽サークルに入ったんですけど、つまんなくて1年で辞めました。一緒に入ったみんなも辞めたんで、(サークルは)潰れちゃったんじゃなかったかな・・・。

クラハラ: 潰れちゃったんですか・・・?

荒川: たしか数年後になくなっちゃったって聞きました。ライブハウスとかでバンドやろうよみたいな感じになって、うちらの学年は全員辞めたんですよね。

クラハラ: えー!じゃあサークルを辞めたみんなでバンドを組んだんですか?

荒川: そうですね。でもその後もやってたのは2バンドだけだったんですけど、どっちも俺ドラムでした。あっ俺ドラムなんですよ。ずっと。 ずっとっていうか元々・・・あっいや、最初はベースか。ベースを姉ちゃんが持ってて。イケベの激安セットみたいなやつ。うちの姉ちゃんジローが好きだったんで、GLAYの。

サマリー: じゃあGLAYのコピーもベースでやったの?

荒川: ベースでやりました。あ!高校生のときtetsuモデルのベース買いました。ラルクの。スイッチいっぱいあるグラスルーツ?のやつ。好きとかじゃないのに。お年玉を貯めて買った記憶があります。



クラハラ: これからやってみたいことや興味があることはありますか?

荒川: 音楽、創作意欲はずっとあるんですけど、もう作って出して作って出してみたいなのは、ずっとやりたいなって感じです。apöpaは今年3部作を作ってて。今まではジャケットもずっと自分の地獄の手書きみたいな・・・雑なジャケットって言ったらあれですけど、しょうがなく自分でやるみたいな感じだったんですが、本当は好きな人にお願いしたいんですけど、速さとか、さっき作ったやつ明日リリースするとか、そういう感じで自分のソロは作ってたんですけど、一回ちゃんと・・・ちゃんとってむずいですけど、ちゃんとってむずいですよね。何がちゃんとかっていうのが(自分の中で)あるんですよ。今回は好きな人にジャケットをお願いして、今年は名義も変えたし、3部作やろうみたいな感じです。もう2個は出来てて、あと年内にもう1個出そうっていう感じです。

サマリー: すごいペースで作品をリリースしてるよね。じゃあ今回は最初から三部作っていうコンセプトだったの?

荒川: そうですね。課題じゃないですけど、ぼーってしてるとアニメ見てたり、漫画読んだり、時間浪費しちゃうんで。もうすぐジャンプスも1個出来ます。それとツアーも行きたいし。ヨーロッパとか。

クラハラ: ヨーロッパはどういった街に行きたいですか?

荒川: アムステルダムは前回行って、また行きたいなっていうのと、ジュネーブに行ってみたい場所があったり…それとロンドンとか。

クラハラ: ヨーロッパツアーへ行くのならソロですか? それともバンドやユニットで?

荒川: ソロで行きたいですね。でも英語が全然ダメだからなっていうのはあるんですけど・・・。一度ひとりで知らないとこに行きたいですね。ライブも反応が全然違うんですよ。郡山でやって落ち込んでる場合じゃないんで。地元でライブすると結構落ち込むので・・・
とにかくリリースとライブしたいって感じです。 曲いっぱい作りたいですからね。やっぱライブとかリリースしたいってことなんで、承認欲求じゃないですけど・・・。

サマリー: 表現欲求?

荒川: 表現欲求ってことなんですかね。そういうのはなんとなく感じてます。

クラハラ: 荒川さんのソロの演奏は以前はギターを使ってましたよね。ギターを使わない現在のスタイルになったのは何かきっかけがあったんですか?

荒川: Cubaseで録音をすることになった機会があったんですけど、全然ダメだったんですよ。難しいし予期せぬエラーでシャットダウンばっかりだし。Cubaseに慣れるために一回、DAWで打ち込みとかMidiキーボードとか使ってみたりして・・・。そういうことやればCubaseが俺に寄り添ってくれるかなーみたいな。もうちょっとこっち見てくれるかなって思って。それで50曲ぐらい一気にバーって作りました。

サマリー: 50曲!?

荒川: 作りました。『midi50』って作品がそれです。2週間で50曲作るって決めて。だから俺、部活みたいなのが好きなのかもしれないです。なんか目標を決めるみたいな。
それでギターから電子音への変更のきっかけなんですが、sofhesoさんやyocoscumさん、すごく好きな電子音楽の人たちが身近にいて、せっかく自分もパソコンで作ったからライブもやってみようかなってなって・・・。
そんな時にUNDERTOWっていうBUSHBASHのイベントあるんですけど、『midi50』のリリースイベントも兼ねて柿沼さんが企画してくれて、それでせっかくだからこの日は電子音でライブやってみたいなと思って、パソコンだと予期せぬエラーでシャットダウンが不安すぎたので、スタンドアロンで動くMACHINEをローンで買って。買って1週間くらいで使い方わかんないままイベントに持ってって、ライブしてみたら楽しかったっていう感じですね。
出したい音色の変化とかってこともなくて、慣れるために始めてみたらパソコンの音も結構いいな、みたいな。アナログの良さってめちゃめちゃあるじゃないですか?電子音のトーンの感じ?とか、ちょっと苦手だったんですけど、でも電子音も面白いなって思うようになったって感じですかね。
Aksak Maboulの3枚目とか電子音が結構入ってて、それを自分が電子音つかってやりはじめた後に聴いたんで、やっぱりみんなそういうこと考えるようになるよね!みたいな感じでなんかちょっと嬉しくなるというか、答え合わせじゃないけど。(Aksak Maboulの)2枚目から3枚目の変化って個人的に胸熱で、この人たちがこういう音出すんだみたいになってちょっと嬉しくて。そういう挑戦?とかやっていきたいなって思うんですよね。

クラハラ: ご自身のレーベル(ASC)ではカセットテープで作品をリリースされてますよね。そこにはカセットへのこだわりがあるんですか?

荒川: そんなに・・・すごいあるわけではないんですけど、好きってぐらいですかね、聴くのが。お金があるんだったらレコードいっぱい作りたいっていうのは正直なところはあるんですけど。でもカセットもちょっと値段上がってきちゃってて苦しいのもあるんですけど。CDだったらデータでもいいかなって感じなんですけど・・・あっでもCDも可愛いですよね。でもカセットのこの感じは可愛くて・・・なんか美味しそうじゃないですか。
音色は厳密にはもうちょっと考えた方が、カセットだからこのミックスでこういう曲の方がいいみたいなのをもっと考えた方が本当はもっと道は広がるんだろうなと思います。だからこだわってるかって言われるとそうでも・・・っていうのはありますかね。さっき録ってすぐダビングしてリリースとか、速さにはめちゃめちゃこだわりあるんで、そういう面ではカセットが一番その瞬間を収録できてる感じが音楽的にもいいなっていうのはあるかもしれないです。


クラハラ: 何か最近ハマってるものやオススメってありますか?

荒川: 将棋はずっと指してて、(将棋アプリで)2段になったんですよ、先月。オンライン対局じゃなくてちゃんと誰かと対面で指したいですね。対面は本当に楽しんで。全然ないんですよ、対面で指す機会。本当にもう全然変わりますから。指し方とか。人間性みたいなのがより出たり。感想戦もしたい。でも、もうずっと対面で誰かと指してないですね。東京に将棋カフェがあって、結構前ですけど行ったらめっちゃ良かったです。俺ライブハウスでもあんまり喋んなくて、もくもくと音楽聴きたいんだけどなって感じのタイプなんですけど、将棋カフェもワイワイしてる人たちと黙々と指してる人たちがいて、めっちゃいいなって思いました。
それとアニメとマンガはずっと好きなんですけど・・・。

クラハラ: アニメはどんなのを観てるんですか?

荒川: もうなんでも観るんですけど、すげえつまんないファンタジーとか、なろう系のやつは全部見るっていう謎のブランディングやってます。そういうのめちゃめちゃ観てます。

サマリー: やっぱり自分で決めたことを達成するみたいなのが好きなんだ。

荒川: ああ、好きなんですかね。なるほどですね。三部作とか50曲作るとか、やっぱりそういうの好きなのかもしれないですね。
でも即興とかも好きだから、難しいとこですよね。曲練とかあんまり出来ないんですよね。通し練とかも絶対やりたくないというか。絶対やりたくない。ほんとに稀にやるときはやりますけど、基本的にやりたくないですね。

サマリー: でもジャンプスは結構練習しないと難しそう・・・。

荒川: でもジャンプスは最近は鈴木君がたぶんあきらめて?くれてて、一回くらい通し練してあとは各々・・・っていう感じです。とにかくギリギリまで新曲を作って、っていう感じですかね。で、ライブでめちゃくめちゃ間違えるんですよ、俺が。昨日もひどかったんですけど・・・。
でも最近はライブで演奏が崩れた際に、 二人でどうしていくかみたいなのが楽しいです。

クラハラ: ジャンプスのライブはこれまで何度か観てきましたが、トランペットを導入していたり、荒川さんにも鈴木さんにもそれぞれ変化があったようにみえます。例えば熊本で初めてライブを観たときは、より即興性が強かったようにみえました。

荒川: あの時は即興だけをやるところとか、即興の曲とかがありました。例えば、熊本に行く途中に何かあったら、それをタイトルにして、何かやろうとか。
最近はどっちかというと、カオティックハードコアのリフにTM Revolutionみたいなメロディーを乗せるとか、俺と鈴木くんがバラバラだったりとか、そういう曲の中の面白さみたいな事にシフトしたっていうか、興味を持ってると思います。
なんか即興は即興、曲は曲みたいなのがあんまりあれでして・・・どっかのタイミングで即興も曲も同じ感覚で楽しいなみたいなのがあって。そういのも別に一緒っていう感じかもしれないです。

クラハラ: 即興も曲も、感覚的に隔たりがなく演奏出来てるってことですか?

荒川: あるじゃんって言われたら、あるんですけど・・・。自分の中ではないって感じです。
トランペットは去年、盆踊りの曲を大友(良英)さんのコレクティブFUKUSHIMA!でやるって決まった時にそのメンバーを募集してて、ギターはもうめちゃめちゃ人数いて、ビオラも別に弾けないし。そういえばギターも別に弾けないなって思って・・・じゃあ新しい楽器で人足りなそうなやつで、手が出そうなやつないかなって感じでトランペットを選びました。本当はユーフォが欲しかったけど、値段が高くて。トランペットだと中古で手に入れやすいのがあったんで、盆踊りの1ヶ月前に買って持って行きました。

サマリー: トランペットってまず音を出せるようになるまでが大変じゃなかった?

荒川: あっでも鼓笛隊でちょっとやってたんで。鼓笛隊って小学校のときありませんでした? こっちの文化なんですかね。

サマリー: 部活みたいな感じ?

荒川: いや、5、6年生になったら絶対やるって感じの。俺、カラーガードっていう旗をふる役に応募したんですけど、選考に落ちてトランペットになったんですよ。で、2年間は課題曲を吹けるようになるまで吹くぐらいの感じです。なのでなにかしら音は出るんじゃないかと思ってました。

クラハラ: 大友さんとはバンド「肺片-haihen」でも一緒に活動されてますよね。荒川さんにとって大友さんはどういう存在ですか?

荒川: 大友さんは尊いですよね・・・。尊いじゃないか。でもお兄ちゃん感もちょっとあるし。偉大な音楽家ではあるんですけど、同じ目線でかまってくれるし。かまってって言うとかまってくれるし。こっちから言わないと忙しいんであれですけど、かまってって言ったらかまってくれるんです。尊敬してる人って感じですかね。音楽的に。バイブス的に。
しかも大友さんってめちゃめちゃ音源作ってるんですよ!30代とか40代の頃って。信じられないくらいリリースしてて。 ライブ盤も多いんですけど、大友さんもめちゃめちゃ曲作ってるんで。劇伴とかも。盆踊りのとき、大友さんに新しい音源を渡したら、「え、この前出したばっかりじゃない? 一回落ち着きなよ。」って言われて・・・。でも大友さんの方が出してますからね。大友さんよりリリースしないと追い抜けないような気もするし。まあ出せばいいってもんじゃないとも思うんですけど。
師匠と呼ぶのもおこがましい感じもあるんですが、マイソールマスターです!

サマリー: 荒川君はもう所謂ハードコアみたいなバンドはやろうとは思わないの?

荒川: あ、でも一応lasnotrikalkuloってバンドもやってて、ハードコアとはいわないかもだけど、そういうのも全然やり・・・いや、今ギター弾けるかな・・・。でもタイミングとか一緒にやりたい人がいれば全然やりたい。
でも大変じゃないですか? バンドの活動って。2人でも限界ぐらい。予定合わせたりとか、日に日に大変になるじゃないですか。人数多いと大変ですよね、4人とか5人とかってなったら。自分はそんなに曲作りとかもろもろの事を引っ張っていけるタイプではないと思うんで。

サマリー: 荒川君はジャンプスでもそうだけど、なんていうのかな、可愛い感じがする。可愛い。曲も可愛い。可愛いって言い方が正しいか分からないけど。音もそう。電子音とかの音もそうだし。それがすごくいいよね。そういう音はどこから来てるんだろう?所謂ポストハードコアみたいなものと全然違う気がする。

荒川: でもFugaziとかってちょっと楽しくないですか? 絶妙にダサいリフっていうか。ポップさっていうか。

サマリー: 例えばジャンプスだったら、歌は童謡みたいな感じがあるから、ルーツとまではいかなくても、そういうのが好きだったりするのかな?童謡みたいなメロディーとか、みんなの歌というか、日本昔話みたいな。

荒川: でもそういうのはあんまり聴いてないかもしれないですね・・・。どっちかというとFred Frithとかのポップさっていうか、美味しそうな音みたいな、そういうのを探したいなっていうのがあります。
でも、わー!って、ジャンプスとかでわー!ってなると、そういうの(パンクやハードコア)もやっぱり好きだなって思います。

サマリー: かっこいいよりも、どっちかと言うとかわいいが好きみたいな感じもある?

荒川: 確かに・・・。かっこいいよりは、かわいいのほうが好きなのかもしれないですね。サングラスとかもかけられないし。 服とかもあんまりバシッとするのは・・・。 車も昔ラパンに乗ってたし。茶色いやつ。かっこいい車っていうよりは・・・あっでもあれですよ、ハイエースとか、かわいいじゃないですか。そういう意味でかわいい方が好きなのかもしれない。かっこいい表現は多分出来ないのかもしれないですね。多分。憧れはありますけど。

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[PROFILE]
1985年福島県三春町生まれ。 学生時代に東京都の小岩で音楽と出逢いバンド活動を始める。 福島県郡山市に居所の中心を移し「ReddTemple」を結成。 2013年より、リハーサルスタジオ「studio tissue★box」を始める。 最近はサンプラーを用いたエレクトリックソロ「apöpa」を中心に、鈴木良典とのアコースティックデュオ「ジャンプス」、名取一祐とのエレクトリックデュオ「〽」、大友良英、Akio Jeimusとの即興トリオ「肺片-haihen-」などなどで活動している。 レーベル「ASC」主催。 美味しい音を模索。