2022年に熊本で結成され、2023年には単独カセット音源とSoul Ameria RecordsよりElliott Greenとのスプリット作品『post marked stamps #5』をリリース。
前ボーカル脱退と新ボーカルの加入を経て、熱量あるその圧倒的なライブパフォーマンスで支持を拡大し、2025年8月にはCROSS MY HEARTのJapan Tourでの共演やアメリカのRite Field Recordsより1stアルバムのリリースを発表、そして自主企画「Choose your future!」の開催など、充実した活動が続くfuturina。
イブキ(vo,gt)、アサト(gt)、ナナミ(ba)、アヤノ(dr)のメンバー4人に、アサトの生まれ故郷でもある沖縄でのライブを控えた2025年4月にインタビューさせて頂きました。

クラハラ: futurinaはそれぞれ別のバンド(注1)でも活動しているメンバーが集まったバンドだよね。結成のきっかけはなんだったの?
アヤノ: それ、聞かれると思ってたんですよ!(笑)
アサト: イブキちゃんは後から入ったメンバーだから、きっかけの話は知らないよね?
イブキ: 私は何も知らないです(笑)
アヤノ: 私は自分がきっかけだと思ってました。
アサト: そうなんだ・・・。
ナナミ: え~。
アヤノ: みんなの反応見る限り、私じゃないっぽいですね(笑)みんなの記憶だとどうなってる・・・?
アサト: 私目線だと、私以外の3人が集まった状態で私が誘われたって感じですね。河川敷で。その場ですぐに楽しそうだねって盛り上がって、そのまま一緒にバンドを始めることにしました。
アヤノ: 野良人(注2)のとき?
アサト: 野良人のときかな。私も遊びに行ってて。
クラハラ: じゃあアヤノさんがきっかけという話は・・・?
アヤノ: 私は一緒にバンドやりたいねって話をタサキ(Sisley,ex.futurina)、ナナミとそれぞれとしていて。そこで話が終わっていたんですけど、河川敷で「本当にやっちゃう!?」って言い出したのが自分だったと思う。それでギターに誰を誘おうかって考えてたときに、アサトさんがいいって言ったのも私で。だから、私がきっかけだと思ってました。
アサト: なるほどね(笑)
クラハラ: イブキさんがバンドに加入したのは去年(2024年)だよね。イブキさんをバンドに誘ったのはどういう流れだった?
アサト: 色々めっちゃ悩んだよね。めっちゃ話し合いました。そもそもバンドを今後どうするのかってことも含めて。
アヤノ: タサキがバンドから抜ける前から、私がドラムボーカルで、シイナ(セリグマンの猫)にサポートでギターを弾いてもらってライブに出たことも何回かあって。
アサト: リナ(タサキ)がバンドから抜けたあとにみんなで話し合って、やっぱり新しいボーカルを誘いたいねってことになって。それならイブキちゃんしかいないなって。
アヤノ: 他に思い浮かぶ人いなかったですよね。
アサト: イブキちゃんのボーカルもライブで観たことがあって、その時からいいなって思ってた。
クラハラ: 既にイブキさんのボーカルもfuturinaの個性のひとつになってるよね。
アサト: めっちゃ良いです。
アヤノ: すごいっす。
イブキ: (笑)
アサト: めっちゃ良いし、どんどん良くなってる。ギターも良いし。
ナナミ: 最近出来た「Negative reaction」っていうシャウトパートがある曲も、今まで知らなかったイブキちゃんの一面を知れた感じがして嬉しかったです。
アサト: その曲は歌詞もイブキちゃんに書いてもらって、無茶ぶりだったかもって思ってたんですけど、その歌詞がめちゃくちゃ良くて。すごいなって思いました。
クラハラ: 「Negative reaction」みたいな曲は今までなかったよね。曲もボーカルもどんどん幅が広がってきてる。
アサト: 特に「Negative reaction」はギターが刻むような曲を作りたくて。今までそういった曲はなかったので。それとアルペジオは弾かないって決めて。意識的に作った曲です。futurinaを始めるまでは、作曲の際はギターで音数を埋めるような作り方になりがちだったんですけど、今は音数が少なくても、それによって生まれる隙間の感覚をうまく表現できるような曲も作っていきたいです。
クラハラ: futurinaの歌詞は基本的にアサトさんが書いてるの?
アサト: そうですね。
クラハラ: futurinaの歌詞は曲によって日本語詩も英語詩もどちらもあるよね。
アサト: 基本は日本語で書きますね。日本語で書く方が慣れてるので。曲を作ったときに日本語の歌詞がハマりづらそうだなって思ったら英語にするって感じですね。
クラハラ: 歌詞を書いてるときに何か意識してることはある?
アサト: 実はその話を今日はしたいなと思ってて・・・。
ナナミ: 私も聞きたい。
アサト: 普段は歌詞のことってメンバー同士で共有しないし・・・。みんなそうなんですかね? 歌詞の気持ちとかコンセプトをメンバーで共有してるバンドっているんですかね。
クラハラ: どうなんだろう? 自分たちの周りにはあんまりいないかもね。
アサト: 私はfuturinaの歌詞を書くうえで・・・。
アヤノ: (#^^#)
アサト: 何わろてんねん(笑) めっちゃ話し辛いんだけど・・・(笑)
アヤノ: すいません(笑) でもナナミも同じ顔してましたよ!(笑)
アサト: 私はMy Lucky Dayでも曲と歌詞を書いてるんですけど、futurinaはMy Lucky Dayと明確に違うものにしたくて。全然違う感じの音楽性にしたいなって、自分の中で作り方を変えたり、気持ちの面も変えたりして作りだしたんですけど。futurinaの歌詞は影響を受けた本があって、まず中澤系さんの歌集。中澤系さんは難病で若くして亡くなってしまった歌人なんですけど、その人の作品が凄く好きで。futurinaの「sugarcoat」って曲のタイトルと歌詞は『中澤系歌集 uta0001.txt』っていう歌集から影響を受けたものです。それと岸政彦さんの『断片的なものの社会学』っていう社会学の本と、上間陽子さんが書かれた『裸足で逃げる 沖縄の夜の街の少女たち』と『海をあげる』です。上間陽子さんは沖縄の大学の先生をされてる方で。『断片的なものの社会学』みたいな社会学の本はこれまで全然読んでこなかったジャンルなんですけど、futurinaをやりだした頃から読み始めて。歌詞はこういう本から受けた影響が反映されてるのかなって思ってます。
アヤノ: 知らなかった・・・。こういう本ってどんなタイミングで読もうって思ったんですか?
アサト: 上間陽子さんも沖縄の大学の方だし、沖縄きっかけで。
クラハラ: 岸政彦さんも沖縄の本(注3)を書かれてるよね。
アヤノ: 面白そう。
クラハラ: アヤノさんたちも本好きなんだよね?
アヤノ: 最近は全然読めてないですね・・・。一番読んでたのは小学生とか中学生の時。朝の読書の時間ってあったじゃないですか?15~20分間くらいの。でもそんな短い時間で読み終わるわけないし、続きが気になってしょうがないから家に持って帰って読んでましたね。本当は持って帰ったらダメだったんですけど(笑) 小学生の時は赤川次郎とか、ホームズシリーズとかミステリー系を読み漁ってました。中学生の時は宮部みゆき、横山秀夫、伊坂幸太郎と・・・それとラノベにハマってるときもありました。
イブキ: 私も本は好きですね。アサトさんや他のバンドの人たちと一緒に短歌zine(注4)にも参加してます。
ナナミ: 私は文学部文学科だったので、本は読んでました。国語の教科書が大好きで。
アサト: 文学科だったって知らなかった。
アヤノ: そういえばそうだったね~。
クラハラ: 作曲についてはどうかな?曲はアサトさんがまずデモを作るの?
アサト: そうですね。でもドラムとベースはそれぞれに結構まかせてますね。ドラムはデモに打ち込みでちょっと入れたりするんですけど、ベースはほとんど入れないですね。
クラハラ: そうなんだ。さっきfuturinaではMy Lucky Dayとは違うものを作りたいたいって話もでたよね。
アサト: まずMy Lucky Dayのときは特に意味もなくギターにいつも深いリバーブをかけてたんですよ。まずそれをやめようと思って。それとリズムギターがずっとコードを弾いてそこにリードギターが乗るみたいな、そういうのもやめようかなって。ツインギターで曲を作るって意識は結構あります。futurinaを始めたときからChristie Front Driveがめっちゃ好きで、一番影響を受けたかもしれないです。ジャンル的にはエモとインディー・ロックの間みたいなところを意識していて・・・Death Cab for CutieとかLast Days of Aprilとか、Football, etc.とか。あとはBraidとか、最近はEmpire State Gamesとか。曲の展開とかアレンジもみんなで話し合って決めてますね。基本的な部分は自分が作るんですけど、みんなの意見でどんどん変わることもあります。
アヤノ: 私はセリグマンの猫のドラムでは歌をたてることを意識していて。そうすると自然と基本は8ビートになることが多くて。曲調的にもリズムも基本は8ビートで~みたいな、あんまり奇をてらったことはやらないようにしていて。でも私は目立ちたがり屋なので(笑) futurinaでは面白いドラムが叩けたらなって思ってます。なので、音楽を聴いていて印象的なドラムフレーズがあったら「ドッドコツクタカ」みたいにカタカナでメモして曲に取り入れたりしてます。
ナナミ: 私は車の中とかでベースが入っていない状態のデモをひたすら繰り返し聴きます。ベースラインが頭の中で聴こえてくるまで・・・(笑)
アヤノ: かっこいい!
ナナミ: ゲームミュージックも大好きなので、ベースラインに取り入れたいなと思ってます!
クラハラ: ゲームミュージックは例えばどんな作品が好き?
ナナミ: ロックマンとか。
アサト: ナナミちゃんのベースラインはすごいメロディアスなんですよ。それがめっちゃ良くて。ロックマンの音楽めっちゃかっこいいよね。
ナナミ: futurinaの「Distinction」って曲のベースはロックマンの「ブルースのテーマ」が元ネタになってて・・・。
アサト: えっそうなの!?(笑)
クラハラ: みんなが楽器や音楽を始めたきっかけを教えてください。
アヤノ: 姉が小学校のときに吹奏楽部でパーカッションをやってて。姉は天才だったんですよ。小学校1年生の時に、姉が「Sing, Sing, Sing」でドラムソロをたたいているのを観て、その姿に憧れて、私も小学校4年生から吹奏楽部でパーカッションを始めました。当時はそんな姉と比べられて劣等感を感じたりもしてたんですけど・・・。
アサト: 私は中2くらいのときに学校の試験の成績が良かったらギターを買ってもらうって約束をして、それでエレキギターを買って貰いました。アンプとセットで2万くらいのめっちゃ安いやつだったんですけど、弦高も超高いしめちゃくちゃ弾き辛くて・・・。そのときは嫌になってすぐ弾かなくなっちゃいました・・・(笑) でも、高校生になったらまた弾き出して。バンドもしたいなって思ってたんですけど、当時は軽音部に入る勇気がなくて・・・。実際にバンドを始めたのは大学のサークルに入ってからですね。
イブキ: 私は小学生から中学生のころまでピアノをやってました。本当は吹奏楽部にも入りたかったんですけど、地元の中学校には吹奏楽部がなかったんですよ。小さい学校だったので。大学生になったときに吹奏楽か軽音サークルかどっちに入るか迷ったんですけど・・・結局見学に行ったサークルに全部入った感じになりました。最初はドラム志望だったんですけど、楽しくなくて・・・(笑)
アヤノ: え~楽しいよ~(笑)
イブキ: 家にドラムの機材がないから自分の足を叩いて練習してたんですけど、なんかドラム向いてないな~って思って。実家に帰ったときに家族に軽音サークルに入ったって話をしたら、お父さんが昔買ってからずっと家に眠ってたギターをくれて。それがギターを弾き始めたきっかけですね。
アサト: 最初はドラマーだったんだね。
アヤノ: 知らなかった~。
イブキ: ロッ研(注5)に入ったばっかりの頃、アヤノさんとサイトウさん(tika!sui,sniff)がスタジオで私にドラムを教えてくれたことあったじゃないですか。
アヤノ: えっ?
イブキ: 私と同級生の二人に教えてくれましたよ。
アヤノ: あっ・・・思い出した! ロッ研で後輩にドラムを教えようみたいな企画があって・・・教えました(笑) でも、その同級生の子も辞めちゃったね・・・ドラム楽しいのに・・・。
ナナミ: 私もベースを始めたのは大学からで。
アサト: 大学からだったんだ。
クラハラ: イブキさんもナナミさんも2人とも凄いね・・・。
アヤノ: すげー。
ナナミ: 私もピアノを習ってて・・・。
アサト: そうなんだ!(笑)
アヤノ: 知らなかった(笑) あっ、でも私もちっちゃい頃はピアノ習ってました。すぐ辞めちゃったけど。
アサト: 私だけじゃん・・・何も習ってないの・・・。
アヤノ: そこからなんでベースを始めたの?
ナナミ: 高校の学際の時に友達のバンドを観て、かっこいいなぁと思って。それまではベースの音を意識したことなかったけど、ライブだと響いて聴こえて。そこからベースを意識して曲を聴くようになって、私もベースを弾いてみたいと思うようになりました。高校生までずっとお金を貯めてたので、大学生になってすぐにそのお金を握りしめて福岡までベースを買いに行って。コウタさん(sniff,Sisley)とかエグチさん(日直,fjord)、それと女性のベーシストの先輩と一緒に。
クラハラ: それが今も使ってるベース?
ナナミ: そうです。フェンダージャパンのジャズベ。
アサト: そうなんだ。凄い・・・。
ナナミ: だからとても思い入れのあるベースなんです。
アヤノ: 2本目とか持ってないの?
ナナミ: 持ってないです。
クラハラ: いい話しだ・・・。
ナナミ: でも、大学に入ってベースを始めたときは凄く劣等感があって。経験者と初心者の壁みたいな。ロッ研以外にももう一つ別の軽音サークルにも入ってたのでコピーバンドは沢山してたんですけど、演奏がテストみたいに感じちゃって。どれだけ間違えないで弾けるかみたいな。
アサト: わかる。
アヤノ: めっちゃわかるわ~。
ナナミ: ベースを弾きたくて入ったサークルなのに、なんか楽しくなくて・・・。でもSonic Youthのコピバンを辻(デュビア80000cc,Hideaway)とかツカサさん(yard rat,sometimesmemoryfailsmesometimes,歩行千町,fjord)たちと一緒にやったときに、こんなにはっちゃけて演奏していいんだってびっくりして。みんな演奏はめちゃくちゃなのにカッコよくて。わたしもめちゃくちゃに演奏しようって思えて、それから楽しくなった。あとはIRIKOのコピバンを学祭でアヤノさんと太一くん(デュビア80000cc,yard rat,sniff)とセイシロウくん(Wendy York Stand,PÄRUP)とやったときも、みんな練習のときからすごく楽しそうに弾いてて。私も真似しようって思って弾いたらすごく楽しかった。
アサト: ナナミちゃんたちがSonic Youthのコピバンしてたのめっちゃ覚えてるよ。その時はまだナナミちゃんとは面識なかったけど。
ナナミ: 大学に入って初めてコピーして演奏したのは『おジャ魔女どれみ』の曲で。でも本番で失敗して、悔しくてトイレでずっと泣いてました。
アヤノ: ロッ研の一年定演だよね。励ましたの覚えてる。正直、ロッ研の一年定演ってみんな演奏ハチャメチャで。ナナミは私から観ても全然弾けてたのに泣いてたから、負けず嫌いというか・・・真面目なんだなって。
ナナミ: 大号泣でした(笑) めっちゃ悔しくて。
アヤノ: その時は本当に心配して励ましてたけど、次の日になったら『おジャ魔女どれみ』が弾けなくて泣いてたのがちょっと面白くなってきて(笑) ナナミは負けず嫌いなんだ。すまん(笑)
ナナミ: アヤノさんは当時から楽器経験者って感じで。いいなぁって思ってました。
アヤノ: そうだね・・・。楽器はずっとやってたしね・・・。
イブキ: 私もロッ研に入るまではバンドの音楽って全然聴いたことなかったんですけど、アヤノさんと羊文学のコピバンをやったことがあって。その時にホカマさん(tika!sui,khagorim)に音作りを教えてもらったことがバンドの音楽やギターの演奏が好きになったきっかけだったかもしれないです。
アヤノ: 懐かしい。「ロマンス」って曲をやったんですけど、途中のギターソロでイブキちゃんがホカマから借りたファズを踏んで爆音のカッケェ音鳴らしてて、テンション上がったの覚えてる(笑)

クラハラ: みんなはfuturinaとは別のバンドでもそれぞれ活動してるし、仕事や学業も並行してるよね。どんなことがバンドを続けられたり楽しめてるモチベーションになってる?
アヤノ: それ、私も聞きたいな・・・(笑) 私はすぐ答えられますけど、みんなの話をまずは聞きたい(笑)
クラハラ: なにそれ(笑)
アヤノ: 練習や諸々がダルいなって感じることありますか?
アサト: ある・・・。
アヤノ: あぁ・・・私もです・・・。
アサト: 全然あるんですよね・・・。ちょっと言い辛いんですけど、練習あんまり好きじゃない・・・(笑)
アヤノ: 練習中もですか・・・?
アサト: いやいや、行くまでがね・・・。行ったらめっちゃ楽しい。でもバンドの練習がっていうより楽器の練習も全然好きじゃなくて・・・。正直、楽して上手くなれるならそっちの方がいいっていうか・・・(笑)
アヤノ: それは本当にそう。
アサト: 自分は怠け者なので、楽していい曲が作れたりいい演奏が出来たりしたらいいのになっていう気持ちになるときもあります・・・(笑) でも楽して上手くいってそれで自分は得られるものがあるのか?っていう気持ちもあるので、なんやかんやがんばろうかな、がんばらないとなって思うんですけどね。けどモチベーションがなにかって聞かれると答えるのが難しいんですよね・・・。
アヤノ: ・・・皆答えてくれないやん(笑)先に答えちゃいますね!一言で言うと、バンドでドラムを叩くのがこの上なく楽しいから。吹奏楽部時代は不満ばっかで・・・。吹奏楽部のドラムってつまらないんですよ。オカズもちょっとくらいしかなくて。私が楽譜を変えて演奏したら、勝手に変えるなって注意されて、盛り上がりでダイナミックに演奏したら、うるさいって注意されて・・・。吹奏楽はそういうのが嫌になって辞めちゃって。誰でも出来るじゃんっていうか、自分であることの意味が分かんなくなって、なんか楽しくないなーって。でもバンドは全然違う。自分の表現に周りが呼応していく感覚もあるし、周りに呼応して自分の表現が変わっていく感覚もあって。futurinaは曲がいいのは勿論なんですけど、みんなの演奏が凄いと思っていて。それは技術的な話だけではなく・・・。普段の練習でも1曲終わるごとに、やっば・・・これ、最強じゃんっ!!って本気で思ってるんです!
アサト: 褒められた(笑)
アヤノ: これ、本当に毎回思ってるんですよ! 私はfuturinaの練習でドラム叩きながら感極まって泣いちゃったこともあって・・・。
アサト: えー!
アヤノ: メンバーのみんなが好きとか、みんなといて楽しいとか、曲がいいとかそういうのも勿論あるんですけど、なんだろう・・・自分が演奏するのも好きだし、みんなの演奏がバチっとハマる感覚もあるし・・・。もちろんライブで失敗したり、めっちゃかっこいいバンドのライブを観て打ちのめされた気持ちになったりすることはあるけど、futurinaの練習後はこんなカッコいいバンドいないのでは・・・!?って気持ちになります。それがモチベーションなのかも。
アサト: 私はバンドを始めてからずっとバンドをすることが普通っていうか・・・当たり前みたいになってたし、だから自分のモチベーションって全然考えたことなかったけど・・・。でも最近はバンドを続けられるって当たり前のことじゃないなって思ってきて。こうやって続けられてるのは奇跡だなって思います。この4人でバンドがやれてることもそうですし。だから、今出来ることを今やりたいっていうのがモチベーションですかね。こんな風にバンドが続けられてることは当たり前じゃないし、凄いことだと思うから。
アヤノ: 他の2人の話しも聞かせてよ~。ホンマにホンマに~。
ナナミ: 私は自分のバンドの曲が好きっていう気持ちが大きいですね。仕事の都合で熊本まで車で片道3時間半~4時間の場所に住んでいた時期があるんですけど・・・当時は練習とライブで週3くらい熊本まで来てたこともあって・・・。
アヤノ: それを往復してたんだもんね・・・。
ナナミ: でもやっぱりバンドの曲が好きだし、その曲に自分でベースラインをつけるのも楽しいし。ベースを弾くのもコピバンを始めたときみたいに苦じゃないし、楽しい。今も私だけ離れた場所に住んでいるので、時間の使い方とか、自分のキャパをいかに増やせるかっていうことを常に考えてます。
イブキ: 自分がfuturinaに入ろうって決めたのは、やっぱりこの3人が誘ってくれたから。この3人じゃなかったら多分入ってないと思う。
アヤノ: そんなに前から仲良かったっけ・・・? 結構話してたか。
イブキ: 仲良いってだけじゃなくて、尊敬してるって意味でも。私は女性でもバンドをバリバリやって輝いてる3人に憧れてたので。私はバンドが楽しいことがモチベーションだし、そんな3人と一緒に演奏出来て嬉しいです。
アサト: futurinaは「ガールズバンド」をやりたいねってみんなで話して始めたバンドではあるんですけど、今は他の人から「ガールズバンド」って言われると私は正直あんまりいい気持ちしなくて・・・。
アヤノ: うーん。難しいけど、わかる。
アサト:「女の子だけなのにすごいね」って言われたり、わざわざ「ガールズ」emoバンドとか書かれたり・・・。自分たちの中では「女性」がバンドをやることに意味は持ってるんですよ。でも、他人にわざわざそういう括り方をされるのはなんかちょっと違和感があって・・・。
アヤノ: 私もSNSで初ライブの告知をするときに、「ガールズバンド」始めました!って書いて。最初は自分で「ガールズ」を名乗ることも、周りから言われる事も何とも思ってなくて。今までもどちらかというとそういうことに鈍感に生きてきたタイプだと思うんですけど・・・。でも、やってるうちに違和感を感じることも増えて、今は考えるようになりましたね。
クラハラ: 女性がバンドをやってると、「女性なのに」とか「女性だけで」みたいな枕詞をつけられることが本当に多い。
アサト: そうなんですよね。あれマジでなんなんですかね。マジで腹立つな・・・。
アヤノ: 最初はバンドをしてるだけで楽しかったけど、正直最近は精神的に疲れるなってことも増えた。それでモチベーションが下がっても、みんなと演奏したらまた元に戻るんですけど・・・。
アサト: 楽しいだけなら良かったけど、嫌な思いをすることもあって・・・。自分たちの中では「女性」がバンドをやることに意味はあると思ってるんですよ。でも他人から「女性だから」とか「女性なのに」みたいなレッテルを貼られるのはすごく嫌で・・・。
アヤノ: そういうのってなんか矛盾してるのかなって思ったりもするんですけど・・・。
クラハラ: そんなことないと思う。何も矛盾してない。
アサト: 熊本でも自分たちより上の世代で男性以外でバンドを続けられてる人ってほとんどいないし・・・。
アヤノ: 自分たちが知らないところではいるのかもしれないけど・・・。
アサト: それってなんでなんだろうってやっぱり考えるし・・・。男性は結婚して家庭を持ってもみんなバンドを続けられてる人たちばっかりなのに。そういうことを考えると、自分たちはどうなるんだろうとか、バンド続けられるのかなって不安になったり・・・。お手本みたいな人たちが身近にいてくれたら希望をもらえたりもするんですけど・・・。だから、自分たちがそうなりたい。
アヤノ: ライブハウスに女性も増えて欲しいですよね。
アサト: SNSとかで色んなライブの詳細とか告知を見てて、7~8バンド出るのに出演者が全員男性とかざらにあるじゃないですか。そういうのもなんでなんだろうって思う。
アヤノ: 主催とかブッキングの人にムカつくってわけじゃない?
アサト: ムカつくわけじゃないけど・・・純粋になんでなんだろうって思う。男性しかいないんだなーって。やっぱりシンプルに女性の数が少ないよね・・・。なんでなんだろうってずっと思ってる。絶対偶然じゃないよね。そういう状況って変わらないのかなって。変わったらいいなって考えてます。
ナナミ: 私はこのバンドの曲が好きっていうのが本当に第一だし、あんまり他人の言われたこととか気にしてなくて・・・。勿論褒められたら嬉しいんですけど、それよりもみんなで曲を作ったり演奏したりってことにフォーカスがいってるので・・・自分はそういうことあんまり気にしたことなかったかもしれない。いま2人の話を聞いてそういう視点もあるんだって思いました。
イブキ: 実際、軽音サークルの卒業生も男性が多いイメージがあります。私が大学1年生の頃、リードギターを弾いている女性の先輩はシイナさん(セリグマンの猫)くらいしかいなくて。なのでサークル外のアサトさんがリードギターをバリバリ弾いてるのを初めて観たときは衝撃的でした。女性でもやれるぞっていうか・・・。
アヤノ: これは嫌な話ですけど、今まで男性ばかりのライブハウスで女性である私がカッコいいドラムを叩いてるのは自分にとってメリットだと思ってたんですよ。単純に母数が少ないから希少性という意味で注目されやすいっていうか。でもやっぱりそうじゃないなって思ってきて。確かに「目立つ」かもしれないけど、「女性なのにすごい」っていうのは本質的な評価ではなくて。ただ、自分をそんなふうに見てない人も勿論いるし、「女性なのに」って言ってる人も悪気はなく無意識的に言ってる人がほとんどだと思ってて。だからこそ余計に難しいなぁって・・・。悪意が無くともそういう構造があるのは感じていて。構造を今すぐ変えるのは難しいので、まずは自分がただ純粋に音で勝負していこうって思ってます。
クラハラ: 地方のライブハウスはまだまだ演者もお客さんも男性が圧倒的に多い。ロッ研にも最近は女性が増えてきてて、自分の身近にもfuturinaのようなバンドがいるけど、それでもまだ圧倒的にライブハウスは男性社会だっていうのが現実で、いまアサトちゃんがそれは絶対に偶然じゃないって話をしてくれたけど、自分もそう思う。そしてそれはライブハウスだけじゃなくて社会全体に女性への差別があるからだと思っていて・・・。
アサト: うんうん。
アヤノ: あるなー。ちょっと話は変わるんですけど、私はこういうときに逆のことを考えちゃうというか・・・逆に女性社会の業界ってあるんですかね? そういうところに何かヒントがあるかも。
アサト: 医療の現場だと看護師はまだ女性が圧倒的に多くて、逆に医者はほとんどが男性。
アヤノ: そっか~。それってなんでなんだろう。
アサト: 昔から看護師のような「ケア」の役割は女性の仕事って風潮があったりとか・・・。
クラハラ: 数年前の話だけど、医学部受験で女性受験者が一律に減点されてたこともニュースになってたよね。(https://www.excite.co.jp/news/article/E1533367683040/#goog_rewarded)
ナナミ: Amazonの人事採用に使われてたAIに女性を差別する欠陥が見つかったってニュースも見たことある。
(https://jp.reuters.com/article/world/-idUSKCN1ML0DM/)
アヤノ: そうなんだ! 怖すぎる・・・!
ナナミ: ちょっと話変わるかもしれませんが・・・。私、自分の好きなものの話を誰かとするのが好きで。でも、「それ、本当に好きなの?」って聞かれたことがあって・・・。「好き」の尺度って人それぞれだんと思うんです。好きな音楽とかカルチャーとか。自分が好きなものを他人の物差しで図られたのが凄くショックでした。
アヤノ: めっっっちゃわかる!
ナナミ: それからは何となく、「好き」って胸を張って言えなくなったり、自信がなくなってしまったりして。でも、過程、知識、かけた時間がバラバラでも「好き」な気持ちは変わらないし、誰かの「好き」を教えてもらって自分も好きになったり、深まったりすることもあるんじゃないかな。ライブハウスでももっと気軽に好きな音楽の話しが出来るようになればいいなって思います。
アサト: 確かにそういう話ってなかなか気軽に出来ないかも・・・。
ナナミ: そういうのって聞き方とか言葉のニュアンスもあると思うんですけどね。
アヤノ: それめっちゃわかるし・・・そういうの本当に多いなって思いますね。ちょっと論点違うかもですが、「相手が嫌な気持ちになることはしちゃダメ」って当たり前のようでも、実際はすごく難しいですよね。私は人は自分の立場でしか物事を考えられないって思ってて。だから自分がされて平気なことはついやってしまうこともあるなぁって。自分もそういうこともあったし・・・。でもこういうのが嫌な人もいるんだって学べば行動も変えれると思うので、人と関わって会話して、色んな考え方に触れることが大事だなとはしみじみ思いますが・・・。
※自分が他の人にしてほしいと思うことを相手に対しても行うという原則を「ゴールデンルール」、それに対し、相手がしてほしいと感じていることを相手の立場に立って理解し、それを行うという原則を「プラチナルール」という。
クラハラ: 他人が考えてることや感じてることを理解するのは難しいよね。それでも、その分かり合えなさと向き合わなくちゃいけないというか・・・。自分も他者に何かを伝えるのは本当に難しいなって毎日思ってる。
アヤノ: 本当にそうですよね。みんなきっと悪気はないわけじゃないですか? だからこそ伝える手段が欲しい。
アサト: お互い分かり合えないこともあるかもしれないけど、それでも話せば分かるって思っちゃう。伝わるはずだって。
アヤノ: 私も。自分はこういうことが嫌だったよって、やめて欲しいって伝えたら分かってくれるはずだって思いたいです。
アサト: でもやっぱりみんな「悪気がない」のが一番の問題なのかも・・・。問題というか難しいところっていうか。
アヤノ: たしかに。それが一番の原因かも。
クラハラ: 差別は「悪気のない」人がしてしまう場合も多い。でも「悪気がなかった」っていうのは差別者側の理屈でしかない。差別の問題に悪気の有無は関係ないよって、もっとみんなにわかってもらえたらいいんだけど・・・。
アサト:でも正直どうしたらいいか全然わかんないんですよね・・・。
アヤノ: 例えばですけど、ライブや企画をするときに、何かメッセージを発信していきたいって思ってる人はいますか?
アサト: メンバー4人のそういうことをしたいって気持ちが一致するなら・・・。でも、正直そういうことを発信することをちょっと怖いなって思う自分もいて・・・。実際こういう話って、普段から友達とかと全然出来てない。自分が思ってることを口にする勇気もなかなかないし、まわりからどう思われるのかなって・・・。そういうことをステイトメントでだしてるバンドのことを凄いなって思うし、自分も出来たらなって思うんですけど、でも正直まわりからどう思われるのかなって不安の方が大きくて・・・。
アヤノ: 私も全く一緒ですね。でもジェンダーの話だと、男の人だって「男性」として生きてきて色々あったんだろうな~って思ったりもして・・・。他の場合でもみんなそれぞれの立場で理不尽な事はあるって、そういうことを色々考えちゃって結局何も言えなくなっちゃうことが多いですね・・・。でもキツイよね、自分の気持ちが。だからこういうことを話せる人が増えると少しは楽になるのかな。やっぱり何でも自分一人だけで考えて行動するのはしんどい・・・。
クラハラ: 男性も「男性らしさ」を社会から求められている現実もあると思う。でも、だからといってそれは女性への差別と相殺されるものではないよね・・・。一人で何かを変えるのはとても難しいけど、身近で同じようなことを考えるてる人たちを見つけていきたい。こういうことを話せる人たちを身近に増やしていきたい。「男性らしさ」で苦しんでいる人たちだって大勢いると思うし。
イブキ: こういうことを考えることを放棄しちゃってる人が多いのが現実だと思うんですよね。性差別とか政治とか、社会問題のこと全部。そういうことを考えてる人はまわりからマジメ君って言われちゃったりとか・・・。
クラハラ: 最近だと「思想が強い」とか言われたりするよね。
イブキ: ずっと傍観者のままだったり、保守的なままだと何も変わらないなって思うので、出来ることをやっていかなきゃなって思いますね。
アヤノ: ジェンダーの話だと、私はたまたまfuturinaとセリグマンの猫っていうどちらもメンバーが全員女性のバンドを掛け持ちしているし、こういうことを共有できる人を増やしていくことがいま出来ることなのかな。
アサト: 自分もずっとこういうことに鈍感だったし、むしろインターネットで偏った知識や情報を取り入れちゃってて・・・。冷笑系というか。学生時代は周りにもそういう人が多かったし・・・今思い出すとめっちゃ恥ずかしいんですけど。でもバンドを始めてから、特にfuturinaを始めてから色んなことを考えるようになったし、それがバンド始めて一番良かったことだなって思ってて。バンド始めてよかったなって。最初はバンドや音楽は楽しくやれればいいじゃんって思ってたんですよ。今でもそういう気持ちはあるんですけど、なんかそれだけじゃ嫌だなって思うようになって。楽しいだけじゃなくて、色んな事考えながらやりたいなって。だからバンドで出来ることがあればやりたい。こういう問題にコミット出来ることがあればやっていきたい。
※今回のインタビューでは「女性」や「男性」という言葉が多く登場しますが。人のジェンダーはもっと多様なものです。男女二元論ではなく、お互いの立場から社会全体が男性優位なものであるという話をしています。

クラハラ: 最近なにかハマってるものやおススメのものはありますか?
アヤノ: 最近お笑いのラジオばっか聴いてるな〜。
クラハラ: どんなの聴いてるの?
アヤノ: 霜降り明星のANNとか。マユリカとか真空ジェシカ、ラランドとか。朝準備しながら聴いて、仕事のお昼休みも聴いて、夜ご飯つくりながら聴いて・・・。あとはボードゲーム。徐々に家に増やしていこうと思っているので、逆にオススメ知りたいです!
アサト: 私は刑事コロンボがめっちゃ好きで。
アヤノ: 渋っ!いつ放送されてたやつですか?
アサト: もう50年以上前なのかな? コロンボには新コロンボと旧コロンボがあって。私は旧コロンボの方が好きなんですけど。古畑任三郎ってあるじゃないですか? 古畑はコロンボの完全なオマージュなんですよ(笑) 古畑任三郎は子供のときに観たことがあって、それから元ネタがあるって知って・・・。今はHuluとかで観れます。さっき話にでた「Negative reaction」って曲のタイトルは実はコロンボからとっていて・・・(笑)
アヤノ: えー!(笑)
アサト: コロンボの一番好きな話のタイトルなんです。邦題は「逆転の構図」っていうタイトルなんですけど。コロンボは古畑と同じで、視聴者側には最初から犯人が分ってるんですよ。刑事コロンボに出てくる犯人は社会的な地位が高い人が多くて。金持ちとか会社の社長だったり。逆にコロンボは着てるコートもヨレヨレで庶民的な雰囲気なんですよね。そんな庶民派のコロンボが社会的な権力者を推理力で追い詰めていくのが観てて気持ちいいんです。
アヤノ: スカッとジャパン的な?(笑)
アサト: いや、それは全然違うけど・・・。
アヤノ: スカッとジャパン知らんけど(笑)
クラハラ: ・・・・・・・。
ナナミ: 私はNintendo Musicですね。ポケモンの最新作の曲が聴けたりして。通勤中とかずっと聴いてて・・・いつも泣きながら通勤してます。
イブキ: 私はトモダチコレクションっていうゲームをやってますね。DSで。身近な人達をゲームのなかで作ってるんです。今も持ってきてますよ。是非見て欲しい~(笑)
アヤノ: いつも持ち歩いてるよね。
イブキ: いまめっちゃハマってますね。
クラハラ: どんなゲームなの?
イブキ: 友達を作って~。住ませて~。
クラハラ: どうぶつの森みたいな?
イブキ: そうですね。でもどうぶつの森よりやれることは少ないです。家具とかもないから、みんな床で寝てます(笑)
クラハラ: ちなみにどんなところが面白いゲームなの?
イブキ: なんだろう・・・。現実の友達がゲームの中で予想外な行動をしたりするんですよね・・・。
クラハラ: (笑)
アサト: そういう楽しみ方なんだ。
ナナミ: トモダチの夢を覗けたりするよね。
アヤノ: なんか怖いんだが・・・(笑)


クラハラ: バンドでも個人でも、なにかこれからやってみたいことはありますか?
アサト: 今はアルバムを作っていて。録音は終わったので、そのアルバムをリリースするのがとりあえず直近の目標ですね。そのアルバムを持って色んなところにライブしに行けたらなって。
※このインタビューの収録後、アメリカのRite Field Recordsより1stフルアルバムをリリースすることが決定した。
アヤノ: このアルバムをリリースしたら海外ツアーとか行きたいかも。
アサト: 例えばどこ?
アヤノ: スペインとか~。最近は英語の勉強もしてるんですよ。shonen batとかSTEGOSAUROと対バンしたときにメンバーともっとコミュニケーションとれたら良かったのにって思って。元々勉強は好きだし、英語の勉強始めてからなんか楽しいかも。
ナナミ: 私は曲作りに挑戦してみたいです。
アヤノ: いいね。あと個人的にM-1グランプリに出てみたくて・・・。
クラハラ: R-1じゃなくてM-1なんだ。
アヤノ: そうですね。ヒグチ(セリグマンの猫,Hideaway)が一緒に出てくれるって言ってたので、ヒグチとダブルボケで・・・(笑)
イブキ: Vlog撮りたいねって話もしてましたよね。
アサト: あっそうだったね。ちょうど来週沖縄にライブしに行くので。
アヤノ: 私はサングラス買いました(笑)
アサト: 動画の編集はやったことないので、最初は上手く出来ないかもしれないですけど・・・。音源だけじゃなくて映像が残ってるのも凄く大事だなって思って。
アヤノ: バンドに限らず普段の生活の映像を残すのも大事だなって。私はめっちゃ残してます。おばあちゃんになった時に思い出をしがみたいので(笑)

クラハラ: みんなにとって熊本はどういうところですか? 4人のなかで熊本出身なのはアヤノさんだけだよね?
アヤノ: 実は私も生まれは福岡なんですよね。まず熊本は渋滞がひどいですよね・・・。
アサト: 最悪だよね・・・。
クラハラ: 世界でもトップレベルで渋滞がひどいところだってニュースにもなってたよね。
アヤノ: 最初に良くないところ言ったけど・・・(笑)人が多すぎないのは良いなと思います。めちゃめちゃ美味しいのに並ばずに入れるお店が多くて嬉しい。阿蘇みたいな観光地もたくさんあるし。
クラハラ: アヤノさんは東京でのライブのMCで「熊本にも遊びに来てください」って言ってたんだよね。
アヤノ: そうですね。来て欲しいですね。美味しいご飯屋さんお教えするので、私たちのライブにスケジュールを合わせて遊びに来て欲しいです(笑)
ナナミ: 私、実は天草生まれなんですよ。
アヤノ: えっ!? 初めて聞いたんだけど!(笑)
ナナミ: 3歳くらいまでは天草に住んでて。海の近くに住んでました。イルカウォチングしたり、母と祖母と海辺に遊びに行ったりしてました。それからは福岡で暮らしてたんですけど、大学で熊本に戻ってきて、バンドも始めて。縁のある町だなって思ってます。
イブキ: 私は大分育ちで、o.n.oさん(ex.trialerror,爆音小僧,yard rat,The CORPSE)と地元がめっちゃ近いです。田舎だったので、熊本はおしゃれな路地が多いなーって感じます。古本屋さんとか古着屋さんもいいお店がいっぱいあるし。雨の日のバイトの帰り道に古本屋さんに寄り道するのが好きです。
アサト: 私は沖縄のことが好きすぎて・・・。でも、熊本に来たから沖縄のことが好きになれた。沖縄に住んでたころは沖縄のことがめっちゃ嫌いだったんですよ。こんな島はやく出て行ってやるってずっと思ってた。島の外にはもっと色んなものがあるはずだって。でも、熊本に来てから沖縄の良いところがよくわかった。それに、熊本は米軍基地がないからいいなって思った。沖縄に押し付けられてる問題って、沖縄に住んでたころは身近なことすぎて逆によくわからなかった。自分事すぎたり、日常に一部になりすぎてたというか・・・。沖縄に住んでたころは、基地があるおかげで沖縄が成り立ってるんじゃないかって思ってたんですよ。でも、絶対にそんなわけなくて。(注6) 自分たちが暮らしてる土地がみんなから不条理を押し付けられてるって、自覚するのはめっちゃしんどいじゃないですか。(注7) 沖縄で暮らしてたころは友達と基地の話なんてしたことなかった。悲しいことが身近なことすぎるとそれについて話すのは難しくて・・・。でも今は、熊本に来たから気付いたことがいっぱいある。だから、熊本というまちに住んでいて感じる身近な問題や誰かに押し付けられている困難について、周りの人たちともっと話したり共有したりできたらいいなと思います。
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1) futurinaのメンバーはそれぞれ、My Lucky Day、セリグマンの猫、Hideaway、17:30のアニメ、sometimesmemoryfailsmesometimes、白魯、kiviuq moth、笹口騒音熊本バンドでも活動している。
2) 白川河川敷にて企画されている弾き語りイベント。
3) 『沖縄の生活史』や『はじめての沖縄』など。
4) 短歌zine『書き割りの向こうから』。熊本を拠点に活動するバンドのメンバーが集まって定期的に作成している。
5) 熊本大学ロック研究会。
6) 沖縄県庁は沖縄県の経済がどれだけ米軍基地に依存しているかを示す「基地依存度」を発表しており、「基地依存度」は1972年の復帰直後の15.5%から2019年度には5.5%と大幅に低下している。(https://www.pref.okinawa.jp/kensei/shisaku/1014345/1014346.html)
7) 沖縄県の面積は日本国土の0.6%。そのわずか0.6%の小さな土地に国内の米軍専用施設の70%以上が集中している。そしてそれは「本土」における米軍基地への反対運動の結果でもあり、在日米兵による住民への性的暴行、辺野古への基地移設強行や事故が相次ぐオスプレイの配備など、基地に関する問題は今も続いている。
2022年夏、